特定技能(SSW)と技能実習(TITP)の給料・キャリアガイド

特集|コラム|日本での就労に必要な在留資格
日本で働きたいと考えている皆様にとって、「給料(いくらもらえるか)」や「日本で就労した後のキャリアパス」については、特に関心の高い、大切なポイントではないでしょうか。
現在、日本には「技能実習(TITP)」と「特定技能(SSW)」という2つの大きな制度がありますが、2027年からは新しく「育成就労制度」が始まります。
この記事では、現在の日本就労における給料の相場から、知っておくべき「控除(給料から引かれるお金)」の仕組み、そして将来のキャリアパスについて、分かりやすく解説します。
1.特定技能と技能実習生の給与相場・統計比較
特定技能(SSW)と技能実習(TITP)では、期待される役割が違うため、もらえる給料も変わります。
特定技能(SSW)における平均給与
特定技能(SSW)は、その仕事ですぐに活躍できる「即戦力」の人材です。そのため、特定技能1号外国人の平均基本給は月額約20万円〜24万円です(1)(2)。さらに、残業や手当を合わせると、月額25万円〜28万円程となります。
技能実習(TITP)における平均給与
技能実習(TITP)は、日本で技術を学ぶための制度です。そのため、給料は地域の最低賃金に近いことが多く、技能実習生の平均基本給は月額17万円〜19万円程度からスタートするのが一般的です。
現在は、3年間以上の経験を積んだ技能実習生が、試験を受けたり経験を評価されたりして、そのまま特定技能へ移行するケースが主流となっています(2)(3)。
【業種別データ】最新の給料ランキング
以下は、厚生労働省の最新のデータ(2024年発表)から、産業別の賃金を表したものです(4)。特定技能1号の場合、経験やスキルにもよりますが、下記の平均賃金を一つの目安として、適切な給与が設定されることになっています。
業種 | 賃金 (千円) | 対前年増減率(%) | 賃金の特徴 |
|---|---|---|---|
電気・ガス・熱供 給・水道業 | 437.5 | 6.7 | 高度な専門技術職を求められるため、全業種でトップの水準。 |
金融業,保険業 | 410.6 | 4.4 | 専門性と収益性が高く、DX化に伴う高度IT人材の需要も賃金を押し上げている。 |
建設業 | 352.6 | 0.9 | 慢性的な人手不足。現場手当等の加算もあり、特定技能でも高水準の設定が必要。 |
製造業 | 318.6 | 4.1 | 安定した水準。最新調査では製造現場の賃上げ機運により増減率も高い。 |
宿泊業,飲食サー ビス業 | 269.5 | 3.9 | 全業種で最も低い水準だが、人手不足により上昇率は全業種平均を上回る。 |
建設業のように体力を使う大変な仕事や、インフラ・金融業のような専門的な資格やスキルが必要な仕事は、給料が高い傾向にあります。一方で、製造業やレストランなどのサービス業は、基本給は平均的ですが、夜の仕事(夜勤)や忙しい時期の残業代によって、実際にもらえるお金を増やしている人が多いです。
2.特定技能(SSW)の賃金決定ルール:知っておくべき労働者の権利
日本には、特定技能(SSW)として働く皆様の給料を守るための厳格なルールがあります。
原則:「日本人と同等額以上」の証明方法
会社が特定技能労働者を雇用する場合、その給料は「同じ業務を行う日本人従業員と同じ、あるいはそれ以上の金額」でなければならないと法律で定められています。
具体的には、会社側は雇用する際に、役所(入管)に「日本人と同等以上の報酬を支払うこと」を約束する書類や、比較対象となる日本人の賃金表などを提出します。これにより、外国人だからという理由で不当な給与で働かされることを防いでいます。
比較対象の日本人がいない場合の判断基準
もし、会社の中に同じ仕事をしている日本人がいない場合は、近くの同じような会社で働いている日本人の給料を参考にします。日本全国の平均データ(前述の統計など)と比べて、あなたの給料が不当に低くないかがチェックされます。

3. 給料から引かれるお金(控除)と手取り額の算出
日本での就労において、給与の考え方としてまず知っておくべきことは、「総支給額(額面)」と、実際に銀行に振り込まれる「手取り額(Net)」は違うということです。
給料から控除されるお金の内訳
給料からは、以下のようなお金が法律に基づいて自動的に引かれます。
・社会保険料(健康保険・年金):病気やケガをした時の治療費や、将来のための年金。
・所得税・住民税:日本で働く全ての人が支払う税金。
・社宅費(家賃):会社が用意した部屋に住む場合の家賃支払い費用(ただし、会社が不当に高い家賃を取ることは禁止されています)。
支援委託費および監理費の負担区分
ここで大切なポイントがあります。特定技能の「支援委託費」や、技能実習の「監理費」という、会社がサポート機関に払うお金は、すべて会社側が負担すべきものです。
万が一、これらの項目が給料から差し引かれているような場合は、法律に違反している可能性があるため、すぐに確認が必要です。
4. 給料明細の構成と法令遵守に基づく権利の保護
毎月もらう「給料明細」は、あなたが正当に評価されているかを確認するための大切な書類です。
同一労働同一賃金ガイドライン
これは、「同じ仕事、同じ責任なら、同じ給料を払う」というルールです。日本人従業員に支払われているボーナス(賞与)や各種手当(通勤手当や住宅手当など)が、特定技能労働者であるという理由だけで支払われないことはありません。
税金と社会保険料が「正しく計算されているか」の確認
前項で説明した通り、給料からは税金などが引かれますが、これらは「法律で決まった金額」でなければなりません。
・居住者と非居住者:日本に来てから1年以上経っている(または1年以上住む予定がある)人は「居住者」となり、日本人と同じ税率が適用されます。
・住民税の注意点:住民税は「前年の所得」に対してかかるため、2年目から新しく引かれ始めることが多いです。「2年目から少し手取りが減る」のは、給料が下がったわけではなく、正しく税金を払っている証拠ですので安心してください。

5.2027年以降の展望:育成就労制度とキャリアパス
今後、日本の法律の改正により技能実習制度は廃止され、2027年から新しい「育成就労制度」が始まります。
育成就労制度で変わること
この制度では、これまで難しかった「転職(仕事を変えること)」が、一定の条件(1〜2年以上働く、日本語の試験に合格するなど)を満たせば、自分の意思でできるようになります(5)。
自分を大切にしてくれる会社、より高い給料を払ってくれる会社を選びやすくなるのが、新しい制度の大きなメリットです。
特定技能2号への移行とキャリア設計
さらに「特定技能2号」を目指すと、家族を日本に呼ぶことができ、在留期間の制限もなくなります(5)。
特定技能2号になれば、現場を支える中心的な存在として期待され、日本人社員と同じようにキャリアを積み、長く活躍してもらうことを前提とした賃金(年収400万〜500万円以上)を目指すことも十分に可能です。
6. まとめ
技能実習から特定技能への移行は、給料を上げ、日本で長く安定して暮らすための大きなチャンスです。しかし、法律や手続きは複雑で、一人で悩んでしまうこともあるかもしれません。
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7. 参照・引用元リスト
本記事は、以下の公認機関による最新の一次情報を基に構成されています。
(1)出入国在留管理庁:特定技能制度の運用状況等について(2024年6月)
https://www.moj.go.jp/isa/content/001428398.pdf
(2)厚生労働省「2024年 賃金構造基本統計調査」雇用形態別にみた賃金
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/dl/06
(3)出入国在留管理庁:特定技能在留外国人数(2025年6月末)
特定技能1号 https://www.moj.go.jp/isa/content/001447392.pdf
特定技能2号 https://www.moj.go.jp/isa/content/001447393.pdf
(4)厚生労働省「2024年 賃金構造基本統計調査」産業別にみた賃金
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/d
(5)出入国在留管理庁:技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(最終報告書)